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WTTフィーダープリシュティナ2026を観る 村松心菜と英田理志の躍進はどこが凄いのか

WTTフィーダープリシュティナ2026で躍進した日本勢。14歳・村松心菜の2大会連続決勝、英田理志の二種目入賞、15歳バウミックの二冠を、結果速報では伝わらない凄さと「次にどこを観ると面白いか」の視点で掘り下げます。

みはる · 2026年6月6日

コソボでの5日間で何が起きたか

2026年5月27日から31日まで、コソボのプリシュティナで開かれたWTTフィーダープリシュティナ2026。結果速報のページをスクロールしていて、日本の若い選手たちの名前が目に留まりました。本当にいい成績を残していたんです。

ただ「準優勝でした」「3位でした」と並べただけだと、正直この大会のすごさは半分も伝わらない気がします。誰がどんな選手で、その舞台がどのくらいの格なのかが分かると、同じ結果がまるで違って見えてきます。

私がとくに注目したのは、次の3つでした。

  • 14歳の村松心菜と19歳の青木咲智ペアが、女子ダブルスで2大会連続の決勝進出(今大会は準優勝)
  • 英田理志が男子シングルス3位と男子ダブルス準優勝の二種目入賞
  • 女子シングルスを15歳のインド人選手ディヴィヤンシ・バウミックが制し、ダブルスと合わせて二冠

どれも「若い世代がシニアの国際舞台で勝っている」という同じ手触りがあって、観ていて素直にわくわくしました。

そもそもWTTフィーダーってどのくらいの大会なのか

まず引っかかったのが、「WTTフィーダーってそもそも何の大会だっけ?」というところでした。普段なんとなく結果だけ追っていると、案外ここが曖昧なまま観ていたりします。

調べてみたら、WTTというのは2021年から本格的に始まった卓球の国際大会シリーズだそうです。卓球王国によると、それまで国際卓球連盟(ITTF)がワールドツアーとして年間10数大会を開いていて、その代わりになる大会としてWTTが企画されたとのこと。その中にいくつかの格付けがあって、フィーダーはいちばん下、つまり入門級の位置づけになります。たきゅトピによると、フィーダーは基本的に世界ランキング50位以下の選手が中心となる大会とのことでした。

正直に言うと、私もこれまで試合表でフィーダーの名前を見ると、上の大会ほどは気に留めず少し流し見していたところがありました。今回ちゃんと調べてみて、それが思い込みだったと気づいたんです。

格付けの違いは、優勝したときにもらえる世界ランキングのポイントを並べると分かりやすいです。

大会の種類 シングルス優勝のポイント
グランドスマッシュ 2000pt
WTTファイナルズ 1500pt
WTTチャンピオンズ 1000pt
WTTスターコンテンダー 600pt
WTTコンテンダー 400pt
WTTフィーダー 125pt

この数字はたきゅトピのWTTコンテンダー解説に載っていたものです。確かにグランドスマッシュやチャンピオンズと比べると、フィーダーで動くポイントは小さい。トップ中のトップが集まる舞台ではない、というのは事実だと思います。

ただ、私はここで「だから大したことない」とは思いませんでした。むしろ逆です。世界各国から実力者が集まる正式な国際公式戦で、しかもランキングポイントがちゃんと付く。そこで4強や決勝に残るというのは、世界の同世代を実際に何人も倒したということです。とくに若い選手にとっては、ここで結果を出して上の大会に出る資格をつかんでいく登竜門になります。フィーダーで勝ち上がる意味は、ポイントの大きさだけでは測れないと感じます。

14歳・村松心菜と青木咲智、2大会連続の決勝

いちばん驚いたのが、女子ダブルスでの村松心菜・青木咲智ペアです。卓球ナビを見ると、出身クラブはミキハウスJSC、現所属は日本ペイントマレッツと分けて書かれていて、まだ14歳。戦型はシェーク攻撃型、しなやかな両ハンドのドライブが持ち味の選手です。2024年にはWTTユースコンテンダーの香港大会U-13シングルスで優勝するなど、年代別の舞台ではすでに結果を出してきました。

ペアを組む青木咲智はミキハウス所属で、Tリーグ公式によると生年月日は2007年4月10日。大会のあった2026年5月の時点で19歳です。

そのペアが今回、女子ダブルスで準優勝。決勝はインドペアに惜しくも敗れての2位でしたが、注目すべきはその前です。Yahoo!ニュース(Rallys配信)によると、青木・村松ペアは先週のWTTフィーダーエンヌボンから2大会連続での決勝進出になったとのこと。しかも日本卓球協会を見ると、エンヌボンのほうは同じペアで女子ダブルス優勝を果たしています。

14歳の選手が、大人も出てくるシニアの国際大会の決勝に2週連続で立つ。これは私の中ではかなり異例のことです。一度たまたま上がったのではなく、連続して決勝まで残るというのは、ペアとしての安定感がちゃんとある証拠だと思います。結果を見たときは素直にすごいと思いました。次にこのペアの試合を観られるのが今から楽しみです。

英田理志、シングルスとダブルスの二種目入賞

男子で目を引いたのが英田理志です。岡山リベッツ所属で、Wikipediaによると1993年3月19日生まれ、鳥取県米子市の出身。世界ランキングは2023年10月に最高80位まで上がっています。シェークハンドの選手ですが、両面とも裏ソフトラバーのカットマン(守備を軸に粘るスタイルのこと)という、今どきは珍しいプレースタイルでも知られています。

その英田が、この大会でシングルスとダブルスの二種目で表彰台に立ちました。Yahoo!ニュース(Rallys配信)の最終結果によると、男子シングルスは英田理志がベスト4(3位)、小林広夢(ファースト)と組んだ男子ダブルスは準優勝でした。

シングルスのほうも、見せ場のある勝ち上がりでした。卓球王国によると、準々決勝でチェコのブレルとのフルゲーム(最終ゲームまでもつれる接戦のこと)を制して準決勝へ進み、準決勝ではクロアチアの左腕バンにゲームカウント1-3で敗れています。決勝までは一歩届きませんでしたが、競った試合を勝ち切って3位まで残りました。

配信の出場表を眺めていて、ダブルスにもシングルスにも英田の名前が出てくるのを見たとき、また英田だ、と気づきました。1日に何試合もこなして、種目ごとに気持ちと体の使い方を切り替えていく。シングルスとダブルスを並行して勝ち上がるのは、観ている側からするとしんどそうに見えます。

技術的なことは詳しい人が見たら違うかもしれませんが、少なくとも体力と集中の面で、二種目同時に表彰台というのは並大抵ではありません。30代に入ってもこれをやってのけたのは、長く観てきた選手だけに余計にうれしかったです。

優勝をさらった15歳、ディヴィヤンシ・バウミック

大会にいちばん大きな旋風を巻き起こしたのは、たぶん日本人選手ではありません。女子シングルスを制したのは、15歳のインド人選手ディヴィヤンシ・バウミックでした。カナ表記はYahoo!ニュース(Rallys配信)の表記にならっています。同じ記事を見ると、彼女はノーシードから勝ち上がり、シニアのWTTで初めての優勝を果たしています。決勝ではチャイニーズタイペイの葉伊恬(イェイーティアン)を退けました。

さらにすごいのが、女子ダブルスでも優勝していること。村松・青木ペアを決勝で破った相手がこのバウミックを含むインドペアでした。シングルスとダブルスの二冠です。調べてみたら、彼女はインド人女子として最年少のWTTフィーダー女子シングルス優勝者になったそうです(Telangana Today)。

推している日本勢が決勝で敗れた相手なので、応援している側としては正直くやしさもあります。でも、15歳でノーシードからこれだけ勝ち上がってくる選手が現れたという事実は、素直にすごいと思います。配信で名前を見ながら、この選手は覚えておこうと手元にメモしました。次に日本勢と当たるときがいつになるのか、今からそわそわします。日本の若い世代だけが伸びているわけではなくて、世界の同世代も同じように一気に上がってきている。それを目の前で見せられた大会でした。

若い世代がシニアの舞台で勝つということ

こうして並べてみると、村松心菜、英田理志、バウミック。年齢も国も立場もバラバラなのに、共通しているのは「若い世代がシニアの国際舞台で結果を出している」というところです。

村松心菜は14歳、バウミックは15歳。年代別の大会ならともかく、大人が出てくるシニアの大会でここまで勝ち上がる10代が、日本にも世界にもいる。日本卓球は福原愛さんの時代から若い選手を世界に送り出してきた育成の層の厚さがありますが、それが今も途切れずに続いていることを、村松心菜のような選手が見せてくれています。

そして同時に、世界の同世代も猛烈に伸びている。バウミックのような選手がいきなり二冠を取る舞台です。誰かひとりが特別なのではなく、世代全体が押し上がっている。たくさん試合を観てきた感覚として、私はそう言い切りたいです。

次に試合を観るとき、どこを見れば面白いか

最後に、次にこの選手たちの試合を配信などで観るときに、どこを見ると面白いかを私なりに書いておきます。

  • 村松心菜・青木咲智ペアは、ダブルスの連携を見たいです。2大会連続で決勝に残ったペアの息の合い方や、どちらがどう動いて台を回しているか
  • 英田理志は、シングルスとダブルスをまたぐタフさを。カットで粘って相手を崩していく独特のスタイルも見どころです
  • ディヴィヤンシ・バウミックら海外の同世代は、今後どこまで伸びるか。日本勢のライバルとしてこれから何度も対戦するかもしれない伸びしろが楽しみです

結果速報を追うだけでも卓球は十分おもしろいですが、その人がどんな選手で、その舞台がどのくらいの格なのかを少し知ってから観ると、同じ1点が何倍も重く見えてきます。次にこの選手たちの名前を試合表で見つけたら、私はきっと最初の1球から見逃すまいと身構えて観てしまうと思います。