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世界卓球2026 男子決勝、中国に0-3。でも3試合とも「あと1本」だった

世界卓球2026ロンドン男子団体決勝、日本は中国に0-3。でも配信で観た私の実感は「あと1本」でした。張本の第5ゲーム8-3、松島と王楚欽の互角、戸上の取り返し。3試合の惜しさを観戦者目線で振り返ります。

みはる · 2026年5月28日

0-3。でも、観ていた私はそんなに落ち込んでいなかった

2026年5月10日、ロンドンのアリーナで行われた世界卓球の男子団体決勝で、日本は中国に0-3で負けました。中国はこれで12連覇です。テレ東卓球NEWSで結果を確認すると、たしかにスコアは0-3。文字だけ見れば完敗です。

でも、配信で最後まで観ていた私は、終わったあとそんなに落ち込んでいませんでした。むしろ「これ、あと1本ずつ流れが違ったら分からなかったよね」とずっと思っていたんです。3試合とも、どこかで勝敗がひっくり返っていてもおかしくない場面がありました。

スコアの「0-3」と、観ていて感じた「あと1本」のあいだには、けっこうな距離がある気がします。その距離を、観た人の答え合わせとして、観られなかった人への振り返りとして、私なりに書いてみます。

数字で見ると、3試合はこうでした

気持ちの話に入る前に、まず数字を並べておきます。試合のスコアは下のとおりです。

試合 日本 中国 各ゲームのスコア(日本側から)
第1試合 張本智和 梁靖崑(リャン・ジンクン) 11-8 / 11-4 / 9-11 / 11-13 / 8-11(2-3で負け)
第2試合 松島輝空 王楚欽(ワン・チューチン) 11-8 / 10-12 / 2-11 / 9-11(1-3で負け)
第3試合 戸上隼輔 林詩棟(リン・シドン) 9-11 / 5-11 / 11-7 / 9-11(1-3で負け)

3試合のスコアはテレ東卓球NEWS卓球レポート(バタフライ)で確認しました。こうして並べてみると、競ったゲームと一方的なゲームが混ざっているのが分かります。一方的に離されたゲームももちろんありました。でも、デュース(10-10からの競り合いのこと)や2点差で落としたゲームがいくつもあるんです。

張本智和、第5ゲーム8-3から。あの逆転負けが一番こたえた

正直に言うと、3試合のなかでこれが一番こたえました。張本選手は第1ゲーム、第2ゲームを先に取って2-0。第2ゲームは11-4ですから、流れは完全に張本選手のほうにありました。

そこから第3、第4ゲームを取り返されて2-2。それでも最終第5ゲームは8-3とリードしていたんです。私は配信の前で「これ、行ける」と思っていました。海外メディアのOlympics.comを見ても、第5ゲームで張本選手がリードしていた展開が書かれていて、あの8-3は記憶違いじゃなかったんだと確認できました。

そこから 1 本ずつ詰められていきました。8-5、8-7 と来たあたりで、私は無意識にスマホを置いて、両手で口を覆っていました。そして 8-8 に並ばれた瞬間、思わず椅子から立ち上がっていたんです。そのまま追いつかれ、ひっくり返されました。

何が起きてあの8-3が崩れたのか、技術的なところは私には分かりません。詳しい人が見れば「あのコース取りが」とか言えるのかもしれません。

でも観ていた私の感覚としては、競り合いになった瞬間に相手のほうが落ち着いて見えた、というのが正直なところです。あと数本の取り合いで先に崩れたのはこちらでした。あれは本当にこたえました。

松島輝空が世界1位・王楚欽と互角に渡り合った手応え

張本選手の逆転負けで気持ちが沈んだあと、松島選手の試合で少し持ち直しました。相手は2026年5月時点で世界ランキング1位の王楚欽選手です(卓球男子・世界ランキング最新版(Rallys))。中国の対日本オーダーでもファーストエースで起用されていました(男子日本vs中国のオーダー発表(Rallys))。普通に考えたら格上もいいところなのに、第1ゲームを11-8で取ったんです。

第2ゲームも10-12。10-10のデュースまで持ち込んで、そこから2点差で落としたゲームでした。第3ゲームこそ2-11と離されましたが、第4ゲームもまた9-11。世界1位を相手にこの競り方をできるのか、と観ていてわくわくしました。

松島選手はまだこれからの選手です。その彼が今の世界のいちばん上と、ここまで競った。結果は1-3でも、私はこの試合をけっこう前向きに受け取っています。やっぱり今後が楽しみな選手だなと、あらためて思いました。

戸上隼輔も、第3ゲームを取り返した。3本目も“あと1本”だった

3試合目の戸上選手も、数字以上に競った内容でした。相手の林詩棟選手は今いちばん勢いのある若手のひとりだと思います。

第1ゲーム9-11、第2ゲーム5-11と先行されて、ここで心が折れてもおかしくない展開でした。でも戸上選手は第3ゲームを11-7できっちり取り返したんです。観ていて「ここから巻き返すかも」と思わせてくれました。第3ゲームを取りきった瞬間、私は配信の前で思わず前のめりになって、声が出ていたと思います。

そして第4ゲームがまた9-11。あと1本、2本の世界です。9-11で第4ゲームを落とした瞬間は、張本選手の8-3が崩れたときと同じ種類の、すっと体の力が抜ける落胆でした。結局1-3で終わりましたが、この3試合目もまた“あと1本”だった。タイトルに書いた「3試合とも」は、決して大げさではなかったと思います。

樊振東がいない中国に、それでも届かなかったもの

ここで一つ触れておきたいのが、今回の中国の布陣です。調べてみたら、樊振東(ファン・ジェンドン)選手と馬龍(マ・ロン)選手では、今大会に出ていない理由が違いました。樊振東選手は代表資格があったうえで自ら辞退、馬龍選手はそもそも今大会の中国男子代表(王楚欽・林詩棟・周啓豪・向鵬・梁靖崑の5人)に選ばれていません。どちらも世界選手権男女中国代表メンバーが決定 代表資格のあった樊振東は辞退(Rallys)で確認できました。

決勝で実際にコートに立ったのは、5人のうち梁靖崑・王楚欽・林詩棟の3人です。卓球レポートでもこの3人での起用が伝えられていました。

つまり、これまで世界の頂点に立ち続けてきた実績トップの2人がいない布陣でも、中国は0-3で勝ちきったわけです。ここに、私が今回いちばん考えさせられた差があります。

前の章で見た“あと1本”の場面を並べてみます。

  • 張本選手の第5ゲーム、8-3リードからの連続失点
  • 松島選手が世界1位と互角に競りながら最後で離された展開
  • 戸上選手が第3ゲームを奪い返しながら第4ゲームを9-11で落とした場面

こうして並べると、共通していたのは「競り合いの最後の数本で、こちらが先に崩れた」ことだったと思います。

だから私の見立てとしては、日本と中国の差は技術そのものの差というより、リードした場面や接戦の終盤を、緊張のなかで勝ちきる強さ――大事な場面でもボールの回転や弧線(ボールの飛ぶカーブのこと)が乱れない安定感――にあったように感じました。専門的に断言できる自信はありませんが、観ていてそう感じた、という範囲で書いています。

それでも私は、張本・松島・戸上のこれからが楽しみです

結果は0-3、そして日本男子は4大会ぶりの銀メダルでした。テレ東卓球NEWSもこの銀メダルと中国の12連覇を伝えています。金には届きませんでした。

でも私は、この決勝を「惜しかったね」で終わらせたくない気持ちが強いです。樊振東・馬龍がいない布陣とはいえ、世界の頂点を相手に、張本・松島・戸上の3人が“あと1本”まで迫った。その事実のほうを、私はこれからの楽しみとして持っておきたいと思います。

中国に勝ちきるために足りなかったのが、終盤を締める強さだとしたら、それは経験で埋まっていく部分のような気もします。次にこの3人がどこまで競るのか。やっぱり観るのをやめられません。次の試合も、私は録画してでも追いかけます!