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卓球ラケットの種類を打球感で選ぶ|5枚合板・7枚合板・カーボンの違いと中級者おすすめ7本

5枚合板・7枚合板・インナー/アウターカーボンの違いを、自分で握って打ち比べた体感で整理しました。コルベル・クリッパーウッド・ビスカリアなど代表モデルを挙げ、買い替えで迷う中級者が候補を2〜3本に絞るための見方をまとめています。

ひさと · 2026年6月4日

ラケットの種類で迷うのは当たり前という話

最初に部活で渡されたラケット、あるいは入門用にとりあえず買った 1 本をずっと使っていて、そろそろ 2 本目を、と思ったときに手が止まる方は多いと思います。私もそうでした。卓球ショップのサイトを開くと、5 枚合板・7 枚合板・インナーカーボン・アウターカーボン・アラミドになんとか系の特殊素材と、知らない言葉が並んでいて、結局なにを基準に見ればいいのか分からないまま値段で選びそうになる、というやつです。

両面にラバーを貼ると 1〜1.5 万円くらいにはなる買い物なので、できれば失敗したくないのも正直なところです。私は中学の部活で卓球を始めて、社会人になってからブランクを挟みつつ続けているのですが、道具を選ぶときのこの迷いだけはいまだに消えません。

スペックの優劣を断定で並べるというよりは、実際に握ったり打ったりしてみて私にはどう感じられたか、という体験のほうから書いていけたらと思います。

そもそもラケットは何でできているのか

まず大枠だけ押さえておくと、卓球のラケットは木材の板を複数枚貼り合わせた「合板」が基本で、そこにカーボンなどの特殊素材を挟み込んだものがある、という二段構えで理解すると分かりやすかったです。

そして一番大きな傾向として、 ​板の枚数が多い/特殊素材が入っているほど、よく弾む(飛ぶ)​ 方向に振れます。細かい分類はこの後ひとつずつ見ていきますが、まずこの軸だけ頭に置いておくと、後の話が入ってきやすいです。

もし「何も知らないからどれを選べばいいか分からない」という段階であれば、ひとつ参考にしたい整理があります。卓球の物理学というサイトでは、ラケットについて何も知らない人にはまず「特殊素材が入っていないラケット」「5 枚合板のラケット」の 2 条件を押さえることを勧めていました。特殊素材が入ると反発力が上がってよく飛ぶようになるけれど、初心者の段階ではボールの回転に影響されてボールが勝手に飛んでいくことも多く、余計に弾むラケットを選ぶ意味がない、という理由だそうです。

これは私もブランク明けに実感したところです。久しぶりに弾むラケットを握ったとき、相手のツッツキ(下回転の短い返球)を持ち上げただけのつもりが、回転に負けて球が浮き、台から出てしまうことが何度もありました。まずは弾みすぎないものでボールの回転に慣れる、という順番は理にかなっていると感じます。

5枚合板と7枚合板はどう違うのか

木材だけでできた合板は、ざっくり 5 枚合板と 7 枚合板に分かれます(まれに単板や 3 枚・9 枚もあるそうですが、まず出会うのはこの 2 つです)。傾向を並べると、私の感覚ではこんな整理になります。

5 枚合板 7 枚合板
弾み 控えめ よく弾んでスピードが出る
打球感 柔らかく球を掴む感じ 板が厚く硬め、しなりは少なめ
回転のかけやすさ かけやすい 5 枚よりは球離れが速い
コントロール・台上 やりやすい 弾む分やや難しく感じることも
重量 軽めが多い 重めになりがち

5 枚合板は扱いやすさと安定感が最大のメリット、とふじたくブログも書いていて、これは握った感覚ともよく合います。弾みが控えめなぶんコントロールしやすく、台上(台の上での細かいやりとり)の技術もやりやすい。打球感が柔らかくしなりが良いので、ボールに回転をかけにいったときの引っかかりも素直でした。

このあたりは一度、行きつけのショップで試打ラケットを 2 本借りて、自分で並べて打ち比べたことがあります。木材 5 枚合板のコルベルと、アウターにカーボンが入ったラケットを交互に打たせてもらったのですが、5 枚合板のほうは下回転に対してループドライブ(弧を描いてゆっくり持ち上げる回転重視のドライブ)をかけたとき、球が板に乗っている時間が長く感じて、回転をかけにいっても球が暴れず安心して振れました。カーボン入りのほうは同じスイングだとオーバーミス(台の奥に出てしまう失敗)が増えて、自分でブレーキをかける必要があり、私には少し気を遣う打感でした。

一方の 7 枚合板は、5 枚より弾んでスピードが出ますが、板が厚いぶんしなりが少なく球離れが速い、という傾向です。なぜ厚さでそうなるのか、卓球の物理学を読んでみたら、しなる(インパクトでラケットが沈み込んで反発する)ほどボールとの接触時間が長くなる、という説明でした。接触時間が長いほどスイングを乗せやすく、自分の狙ったコースに飛びやすい=初心者にも扱いやすい、という流れだと理解しています。

上手い人が見たら違う感じ方をするかもしれませんが、私の理解では「薄くてしなる 5 枚合板のほうが球を持つ時間が長くて操作しやすい」「厚い 7 枚合板は弾むけれど球が離れるのが速くて自分でコントロールする難度が少し上がる」というイメージで合っていそうです。

カーボン入りはインナーとアウターで別物だった

ここが私自身、最初にいちばん勘違いしていたところです。「カーボン入り」とひとくくりにしていたのですが、カーボンをどこに入れるかでインナーとアウターに分かれて、打感がかなり違いました。

インナーカーボン アウターカーボン
カーボンの位置 合板の内側(中心寄り) 表板の近く(外側)
打球感 木材に近く球を掴む感じ 硬く、球離れが速い
弾み 控えめ 強くスピードが出る
向いている人 木材より弾ませたいが安定も欲しい 速いボールを打ち込みたい

カーボンが内側に配置されている分、インナーはアウターに比べて弾みが控えめになる、というのはふじたくブログの整理とも合います(ふじたくブログ)。インナーカーボンは木材に近い打球感のまま少しだけ弾みと球威を足す感じで、アウターカーボンは触った瞬間に「硬くて速い」と分かるくらい打感が違いました。さきほどの試打でアウターカーボンを打たせてもらったときは、軽く合わせただけで球が走るので気持ちはいいのですが、自分のいまの安定感だと持て余しそうだと感じました。

なお、特殊素材はカーボンだけでなく、アラミド系の繊維を使ったものもあります。バタフライの主力素材であるアリレートカーボンも、振動を抑えるアリレートと反発を生むカーボンを交織したもので、このアリレートがアラミド系の繊維だとバタフライ「特殊素材の性能」に書かれていました。さらにバタフライには ZL ファイバー(ZLF)という、ザイロンという繊維を使った特殊素材もあります。これについてバタフライ「特殊素材によるラケット性能の違い」を見てみたら「高い性能と軽さのバランスに優れたラケットになる」と説明されていました。素材ごとに打感の柔らかさや弾みの出方が違うので、ここから先はカテゴリごとに具体的なモデルで見ていきます。

自分の打ち方のどこを伸ばしたいかで絞る

ここまでの「弾み」「打球感」「コントロールのしやすさ」を、自分の打ち方の方向に当てはめてみると選びやすくなります。私が整理してみたのはこんな対応です。

伸ばしたい方向 合いやすい傾向
まだ基礎・安定を固めたい 5 枚合板
回転で崩したい(ドライブ重視) 5 枚合板 / インナーカーボン
木材の感覚を残しつつ球威を足したい インナーカーボン
しなりと弾きの中間でスピードが欲しい アラミド系(アリレートカーボンなど)
とにかくスピードを出したい 7 枚合板 / アウターカーボン

スペックの上下というより、「いまの自分が何を伸ばしたい時期か」で見るのがしっくりきました。私の場合、ブランク明けで一度フォームを戻したかったときは、弾みすぎないもののほうが結局やりやすかったです。弾むラケットに替えてスピードは上がっても、安定して入らなければ試合では使えないので、まずは入る感覚を取り戻すほうを優先しました。

アウターカーボンやアラミド系に踏み込むのは、すでにフォームが振り切れていて、もう一段スピードや球威が欲しい段階だと思っています。私はまだそこに行ききっていないので、いまは 5 枚合板やインナーカーボンの範囲で寄せています。台から少し下がって打ち合うようになってきたら、アウターカーボンも候補に入れたいと思っています。自分がいまどっちのフェーズにいるかを正直に見るのが、遠回りしないコツだと感じています。

5枚合板のおすすめ|バタフライ コルベル

5 枚合板でまず挙げたいのが、私自身も使っているバタフライのコルベルです。スペックを確認すると、卓球王国WEBの用具図鑑では木材 5 枚合板、スピードの指標が 10.6、打球感が 8.2 と載っていて、カタログには「高い反発力とヨーロッパタイプのソフトな打球感が特長」とありました(卓球王国WEB)。

実際に使っていていちばん助かるのは、下回転を持ち上げる最初のドライブが安定することです。球を掴む時間が長いので、回転をかけにいったときに引っかかってくれて、ブランク明けでフォームが不安なときでも台に収まってくれました。バック側のブロック(相手のドライブを止める守り)も弾みすぎないぶん、面を合わせれば素直に返せます。

逆に物足りないと感じたのは、台から下がって打ち合うときのスピードです。一発で抜きにいくような速い球は出しにくく、ラリーが伸びると押し負ける場面がありました。とはいえ、回転と弾みのバランスが良くてどのラバーを貼っても素直に使えるので、最初の 1 本としても、基礎を固め直したい時期にも頼れる 5 枚合板だと思います。

7枚合板のおすすめ|スティガ クリッパーウッド

7 枚合板で名前がよく挙がるのが、スティガのクリッパーウッドです。STIGA 公式では、木材の球持ちを併せもつ硬質な 7 枚合板のロングセラーで、木材の感覚を好みパワープレーを望む選手に向く、と紹介されています(STIGA 公式)。

私自身はサークルで 7 枚合板を使っている人が何人かいて、そのうちのひとりがクリッパーウッドでした。少し打たせてもらったのですが、木材なのに球が速く飛ぶのに驚きました。コルベルのような球持ちの長さとは違って、当たった瞬間にパンと弾く感覚で、ミート(弾いて打つ)が気持ちいいタイプです。ただ重量が出やすく、私の握った個体もコルベルよりずっしりしていたので、振り切れる前提の道具だと感じました。

スピードと木材の打球感を両立したい人、台から少し下がって強く打ち込みたい人には合うと思います。重量は個体差が大きいので、買うなら実際の重さを確かめてからが安心です。クリッパー系には CR システムを搭載したクリッパーCRなど派生型もあるので、店頭で見るときは型番も確かめておくと取り違えずに済みます。私はまだ振り切る自信がなく、いまの候補としては頭に置きつつ保留にしています。

インナーカーボンのおすすめ|ニッタク アコースティックカーボンインナー

インナーカーボンで挙げたいのが、ニッタク(日本卓球株式会社)のアコースティックカーボンインナーです。バタフライの製品と勘違いされることがありますが、これはニッタクのラケットで、合板構成は木材 5 枚に内側のカーボンを 2 枚足したインナータイプでした(ニッタク公式)。

このモデルは、サークルでインナーカーボンを使っている人に、自分のコルベルと持ち替えて少し打たせてもらったことがあります。持ち替えた直後、ツッツキを持ち上げる最初のドライブの球持ちはコルベルとそう変わらず安心したのですが、思い切って振り抜いたとき、相手コートで弾む球の伸びがひとまわり大きく感じました。木材の感覚を捨てたくないけれど、台から下がっても押し負けたくない、という人に向いていると感じます。コルベルからもう一段スピードと球威が欲しくなった人が、感覚を大きく変えずに繋がれそうな 1 本でした。

私が次に試すなら、コルベルの延長線上として真っ先に握ってみたい 1 本です。木材寄りの安心感を保ったまま球威を足せるなら、フォーム作りの段階を抜けたあとの自然な次の候補になりそうだと思っています。

アウターカーボンのおすすめ|バタフライ ビスカリア

アウターカーボンの代表格が、バタフライのビスカリアです。1993 年発売のロングセラーで、アリレートとカーボンを織り込んだアリレートカーボンを初めて搭載したモデルでした(バタフライ「用具の歴史」)。いまもトップ選手に長く使われているアウターカーボンです。

ビスカリアそのものは私の手元にありませんが、同じアウターカーボンを試打店で打たせてもらったときの感触はよく覚えています。軽くミートしただけで球が走り、こちらが力を入れなくても勝手に速い球が返っていく、あの弾きの強さです。気持ちは良いのですが、当てるだけで飛んでしまうぶん、自分でブレーキをかけて止める技術が要ると感じました。

なので、すでにフォームが振り切れていて、自分のスイングで回転とスピードを両立できる段階の人向けだと思います。スピードと球離れの速さをしっかり出したい中〜上級者が、長く付き合えるアウターカーボンとして名前を挙げられる定番です。私はまだそのスイングが作れていないので、憧れとして眺めている 1 本です。

アラミド系のおすすめ|アリレートカーボン搭載モデル

冒頭で名前を出したアラミド系の素材も、純カーボンとはまた違う特性を持っているので紹介したいです。アラミドは丈夫で軽い合成繊維の総称で、卓球ラケットだと、さきほどのビスカリアのようなアリレートカーボン搭載モデルが事実上ここに含まれます。バタフライの説明では、アリレートカーボンはアリレート(アラミド系の繊維)とカーボンを交織した素材で、しなやかで使いやすく打球にスピードが出るのが特徴とされています(バタフライ「特殊素材の性能」)。

つまりアラミド系は、純カーボンほど硬く弾きすぎず、木材ほどおとなしくもない、しなりと弾きの中間を狙った素材だと私は理解しています。アウターに入れたビスカリアは速さ寄り、インナーに入れたタイプはさらに球持ち寄り、というふうに、同じアラミド系でも入れる位置で性格が変わります。

私はアリレートカーボンを正式な自分の道具として持ったことはありませんが、試打で触った範囲だと、純アウターカーボンより球を少し掴んでくれる感覚がありました。下回転をループドライブで持ち上げたとき、純アウターカーボンだと弾きすぎて浮きやすかった球が、アラミド系だと少し引っかかって弧を描いてくれて、自分でブレーキをかける量が減った印象です。スピードは欲しいけれど、純アウターカーボンほどシビアにはしたくない、という中間の希望がある人は、アラミド系を候補に入れてみる価値があると思います。

候補を2〜3本に絞って、最後は握って決める

ここまで整理してきましたが、私はいきなり 1 本に決めるのはおすすめしません。タイプの傾向で候補を 2〜3 本まで絞ったら、最後は実店舗で握って、重さとグリップの太さ・形を確かめてから決める、というのが私のやり方です。

というのも、同じモデルでも重量には個体差があって、カタログの傾向だけでは「自分の手にしっくりくるか」までは分からないからです。クリッパーウッドのように重量が出やすいモデルだと、個体によって振り心地がだいぶ変わります。グリップの握り心地も人それぞれで数字には出ないので、ここだけは現物を握るのがいちばん確実でした。

そして、買い替えは 1 回で正解を当てにいくものというより、試しながら自分に寄せていくものだと思っています。ラケットが決まっても、貼るラバーの組み合わせで打感はかなり変わります。同じラケットでも柔らかいラバーと硬いラバーでは別物のように感じるので、ラケット選びとラバー選びはセットで考えると失敗が減ると感じています。まずは今日のフェーズに合う 1 本から、気楽に試していけたらと思います。