Article
2025-26 シーズンの卓球日本代表が使うラバーを選手別にまとめる
2025-26 シーズンの卓球日本代表 10 名のラバーを選手別にまとめました。男子は 5 人全員がザイア 03 を採用、女子で乗ったのは早田ひなだけ。粘着・カット・国産速攻と分かれる女子側まで、戦型との噛み合いで読み解きます。
あきひろ · 2026年5月27日
今年の日本代表が何を貼っているのか
2026 年 1 月の全日本前後で、代表クラスの選手のラバーが一斉にザイア 03 へ動きました。誰がどの面に貼り替えたのかを並べると、男女で乗り方が大きく違うことが見えてきます。対象にしたのは、2025 年 10 月 1 日付で日本卓球協会が発表した 2026 年シーズン男女ナショナルチーム・候補選手と U18 候補から、5 月時点で代表クラスの試合に出続けている男女 5 名ずつです。面手凛は U18 所属ですが、T リーグや国際大会で代表クラスと戦い続けているので含めました。
まず 10 名分を一覧で並べます。男子側にザイア 03 採用が集中しているのが一見して分かるように、採用面に印を付けてあります。
| 選手 | フォア | バック |
|---|---|---|
| 張本智和 | ディグニクス 05 | ★ザイア 03 |
| 松島輝空 | ディグニクス 09C | ★ザイア 03 |
| 宇田幸矢 | ディグニクス 09C | ★ザイア 03 |
| 戸上隼輔 | ★ザイア 03 | ★ザイア 03 |
| 篠塚大登 | ディグニクス 09C | ★ザイア 03 |
| 張本美和 | ディグニクス 09C | ディグニクス 05 |
| 面手凛 | ファスターク G-1 | ファスターク G-1 |
| 早田ひな | キョウヒョウ 3 国狂ブルー | ★ザイア 03 |
| 橋本帆乃香 | キョウヒョウ 3 国狂ブルー | ドナックル |
| 長﨑美柚 | テナジー 05 ハード | ディグニクス 05 |
★ はザイア 03 採用面です。男子 5 名は全員がどこかの面でザイア 03 を入れている一方、女子側で同じ印が付くのは早田ひな(バック)の 1 人だけです。粘着・カット用変化系表ソフト・国産速攻系・旧来ディグニクス系と、女子側は選択がプレースタイルにそのまま貼り付いた格好になっています。
男子代表 5 名のラバー
張本智和(フォア ディグニクス 05 / バック ザイア 03)
バタフライ公式の契約選手ページでは具体的なラバー組み合わせまで明示されておらず、ここではテレビ東京 卓球NEWS の WTT チャンピオンズ・ドーハ 2026 の報道など、直近の試合周りで触れられている記述に拠っています。フォアはディグニクス 05 を残し、バックをザイア 03 に切り替えた組み合わせです。バック半面で打ち合いを支配する両ハンド攻撃型で、バックを起点にラリーを作って得点源のフォアにつなぐ動きが立っており、抜けが軽いザイア 03 をバックに置いて手数を出し、フォアは重さで押せるディグニクス 05 で仕留めに行く役割分担に見えます。私もバック側をディグニクス 05 からザイア 03 に組み替えてみたことがあり、同じ重さの球を打っても振り抜いた後に板が早く戻ってくる手触りがありました。連続で振る側を軽く、決めに行く側を重く残す配分は、現代男子の両ハンドの中ではむしろ素直な選び方だと感じます。
松島輝空(フォア ディグニクス 09C / バック ザイア 03)
フォアに粘着寄りの 09C を残し、バックでザイア 03 のスピードを取りに行く構成です。若さに任せた前陣のラリー戦の中で、フォアで作った回転をバックでぶつける動きが立っているように見えます。私も前陣寄りに立って同じ組み合わせを試したことがあり、台に張り付いた距離で 09C のフォアを振ると、シートに乗る一拍を待っているうちにラリー速度に置いていかれる場面が出ました。逆に、バックのザイア 03 はその一拍を待たずに前に出ていくので、台に近い位置で打ち合いを途切れさせないには助かる構成だと感じます。
宇田幸矢(フォア ディグニクス 09C / バック ザイア 03)
松島輝空と同じ組み合わせですが、宇田の場合はもう少し中陣からのフォアドライブに比重があり、09C の球持ちを生かしているのが手の感覚にも残ります。私も 09C をフォアに貼って中陣寄りで振ってみたことがあり、台から一歩下がった距離で振ると、球が一拍シートに乗ってから出ていく感覚があって、前陣でカウンターに合わせる時とは別物のラバーに感じました。中陣からフォアで持ち上げて運ぶ宇田の振りには、この球持ちの長さがそのまま効いていると見えます。バックのザイア 03 はカウンターでの一発の鋭さに効いている構成だという印象が強いです。
戸上隼輔(フォア ザイア 03 / バック ザイア 03)
男子で唯一の両面ザイア 03 です。フォアの一発の威力で点を取りに行く戦い方なので、テナジー 05 やディグニクス 05 の系譜より、トップシートの抜けが軽いザイア 03 のほうが振り抜きやすい。両面ザイア 03 を自分で組んでみると、フォアを振り抜いた後にバックが先に戻ってくるような感覚があり、両ハンドの切り替えで上半身が引っかかりません。ラリーが間延びしない男子の現代戦術が、用具の側からも支えられているのが手に残っています。
篠塚大登(フォア ディグニクス 09C / バック ザイア 03)
フォアに 09C を残して回転と弧線を作りつつ、バックをザイア 03 に切り替えた構成です。09C は自分で振った時にシートに球が一拍乗る粘りがあり、フォアでループ気味に持ち上げて回転を作ってからバックで前に弾く、という男子の現代的な組み立てに素直に噛み合います。男子の中ではフォアに粘着寄りを残している側ですが、バックがザイア 03 という意味では今シーズンの男子の流れに乗っている一人です。
女子代表 5 名のラバー
張本美和(フォア ディグニクス 09C / バック ディグニクス 05)
本人や所属からの公式アナウンスは出ていないため、試合映像や用具まとめ系サイトの記載からの推定として読んでください。用具まとめ系サイトでも観測に揺れがあり、2025 年秋にはバック面をザイア 03 系に動かしていたとされる時期もありますが、2025 年 12 月時点の記載ではフォア ディグニクス 09C / バック ディグニクス 05 に落ち着いた組み合わせとして観測されています。秋に一度バックを軽い側へ動かし、シーズン中盤で旧来のディグニクス系に戻してきた、という動きに見えます。私自身、フォアにディグニクス 09C、バックにディグニクス 05 を組み合わせて貼ってみたことがあり、フォアで一拍シートに乗せてから出した球を、バック側はその直前の食い込みで受け止めてからカウンターに乗せる、という前後のテンポの作り方が手に残っています。フォアで一発取りに行く攻撃の組み立てを、両面ディグニクス系の重さで支える構成です。
面手凛(フォア ファスターク G-1 / バック ファスターク G-1)
用具まとめ系サイトの間でも記載が割れており、Tabletennis Reference は両面ファスターク G-1 と記し、やりログでは 2025 年 1-5 月の観測としてディグニクス 05 両面と記しています。本人・所属の公式言明が乏しい状況なので、ここではファスターク G-1 両面を貼っていた時期の組み合わせとして読んでください。私自身、一時期バックに G-1 を貼っていたことがあり、振り出した時にシートが素直に立ち上がって、振った分だけ回転が乗ってくる軽さが手に残っています。前陣で両ハンドの回転量を揃えたい速攻型に噛み合うラバーだという手触りで、出典が割れている直近についても、戦型と前陣寄りの立ち位置から大きく逸脱した選択ではないだろうと踏んでいます。
早田ひな(フォア キョウヒョウ 3 国狂ブルー / バック ザイア 03)
2026 年 1 月の全日本前後で、バック面をザイア 03 系へ切り替えたとされています。早田自身はフォア面・バック面のいずれについても公式に明言してはいないため、フォア・バック両面とも本人の公式言明はなく、試合映像・用具まとめ系サイトの記載からの推定として読んでください。フォアの粘着で回転を作り、バックのトレンド系で球威を出す、フォアとバックで別系統を片面ずつ並べた組み合わせです。この粘着フォア+トレンド系バックは、自分でも何度か試したことがあります。フォア側は振り切って初めて回転が乗る一方、バック側は触れた瞬間に球が出ていくので、ラリーの中でフォアとバックの間で身体の使い方を切り替える感覚が独特で、ここを合わせ込めるのが早田ひなの強さの一部だと感じます。
橋本帆乃香(フォア キョウヒョウ 3 国狂ブルー / バック ドナックル)
カット主戦型で、フォアは粘着の国狂ブルー、バックは変化系表ソフトのドナックルです。回転をかけて切るフォアと、切れの幅を作るバックの組み合わせで、攻撃型と全く別の用具設計になっています。橋本はニッタク契約選手で、フォアのキョウヒョウ 3 国狂ブルーは紅双喜(DHS)が中国で製造する粘着性トップシート+ブルースポンジのラバーで、ニッタクが紅双喜の日本総代理店として日本国内で展開しているものです。粘着フォア+変化系表ソフトという組み合わせは、攻撃型の自分で一度試したことがあります。フォア側は重さで身体ごと持っていかれる感覚で、回転を作る代わりに振り続ける体力が要りました。橋本の試合でカット側に下がってからのフォア攻撃を見ていると、その重さを振り切る筋力と、バックのドナックルで作る切れの落差で相手の打点を狂わせている球が手に取るように見えます。
長﨑美柚(フォア テナジー 05 ハード / バック ディグニクス 05)
テナジー 05 ハードとディグニクス 05 で、女子の中ではザイア 03 シフトから外れた側です。テナジー 05 ハードは私もフォアに試したことがあり、芯を外した球がネット下に落ちる回数が増えて、自分の振りのスピードでは扱いきれずに戻した記憶があります。それだけ硬度を上げた分、芯を捉えた時にだけ重い球が出る、振り切る筋力を要求するラバーです。バック半面の安定したブロックとカウンターを軸にする戦い方に、ディグニクス 05 の食い込み感が噛み合っています。
2025-26 シーズンで進んだザイア 03 シフト
バタフライのザイア 03 は 2025 年 10 月 1 日発売で、そこから 2026 年 1 月の全日本前後にかけて代表クラスの採用が一気に広がりました。
テナジー 05 → ディグニクス 05 → ザイア 03 という系譜の中で、トップシートを軽くしてスピードを取りに行く方向にトレンドが寄ってきた、と感じます。月 1 回の貼り替えを 20 年続けてきた感覚として、ディグニクス 05 は重さで押すラバーで、ザイア 03 は同じ系統の回転量を維持しつつ抜けが軽い、という違いを手で感じます。男子のラリースピードが上がりきった現代では、この軽さの差が振り抜きの差になり、両ハンドの連続性で押し切る戸上隼輔や、バック起点でラリーを作る張本智和のような選手から先に乗っていったのは自然な流れに見えます。
流行から外れた選手たち―粘着・カット・国産速攻・旧来ディグニクス系
男子側がほぼ全員ザイア 03 に乗ったのに対し、女子側はそこに乗らなかった選手のほうが多くなっています。系統で分けると、粘着系を残した側・国産速攻に寄せた側・旧来テナジー/ディグニクス系の重さを残した側の 3 つに分かれます。
粘着系を残した側は早田ひなと橋本帆乃香です。フォアにキョウヒョウ 3 国狂ブルーを置いて回転を自分の振りで作る方向で、流行のトップシート軽量化とは逆向きの設計です。粘着のキョウヒョウ系を自分で貼ったことがありますが、シートが重く、相手のボールに対して球持ちが長く、回転をねじ込みに行く振りが要ります。フォアで作った重い回転を、早田はバックのザイア 03 で前に弾き、橋本はバックのドナックルで切れの幅にして返す、と組み立てが分かれます。
国産速攻に寄せた側は面手凛です。ファスターク G-1 両面を貼っていた時期の組み合わせを足場に置くと、グリップが素直に立ち上がり、振った分だけ回転が乗る軽さがあるラバーで、前陣で両ハンドの回転量を揃える戦い方にバタフライ系の重い球より素直に噛み合います。直近は用具まとめ系サイトの記載が割れていますが、前陣寄りの戦い方そのものは映像でも一貫しています。
旧来テナジー/ディグニクス系の重さを残した側は張本美和と長﨑美柚です。張本美和はフォアにディグニクス 09C、バックにディグニクス 05 で、フォアで球持ちを作って一発を取りに行く攻撃を、バックの食い込みで支える構成です。長﨑のテナジー 05 ハードは硬度を上げた分、薄く当てるとボールが走らず、芯を捉えた時だけ重い球が出る、扱いに体力が要るラバーで、バック半面のブロックとカウンターで試合を作る戦い方にこの重さが効きます。同じ「旧来系を残した側」でも、攻撃の作り方の重心は別物です。
同じ「攻撃型用」と括っても、手に伝わる感触はここまで違います。プレースタイルが両ハンド攻撃でも、選んでいるラバーは揃いません。流行に乗るかどうかは、戦型と回転の作り方の違いで決まっている、という手触りが強く残ります。
まとめ
2025-26 シーズンの日本代表クラス 10 名のラバーは、ザイア 03 に乗った選手と、粘着・カット・国産速攻・旧来ディグニクス系に残った選手の二手に分かれます。男子は 5 人全員がどこかの面でザイア 03 を入れているのに対し、女子でフォア・バックいずれかにザイア 03 を入れているのは早田ひな(バック)の 1 人だけで、男女で乗り方がはっきり非対称です。
もう一つ書き添えると、代表選手と同じラバーを買って同じ厚みで貼っても、硬度・寿命の管理・スイングスピードの違いで同じ打球感は出ません。私自身、トップ選手と同じ組み合わせを試したことが何度もありますが、ボールが上がりきらず差し込まれることの方が多かったです。参考にする時は、戦型の方向性が自分のプレーとどれくらい揃っているかで判断する方が外れません。
最後に、ザイア 03 主流組と非主流組で括った逆引きを置いておきます。
ザイア 03 採用(男子 5 + 女子 1)
- 戸上隼輔:フォア ザイア 03 / バック ザイア 03
- 張本智和:フォア ディグニクス 05 / バック ザイア 03
- 松島輝空:フォア ディグニクス 09C / バック ザイア 03
- 宇田幸矢:フォア ディグニクス 09C / バック ザイア 03
- 篠塚大登:フォア ディグニクス 09C / バック ザイア 03
- 早田ひな:フォア キョウヒョウ 3 国狂ブルー / バック ザイア 03
ザイア 03 非採用(女子 4)
- 橋本帆乃香:フォア キョウヒョウ 3 国狂ブルー / バック ドナックル(カット主戦)
- 面手凛:フォア ファスターク G-1 / バック ファスターク G-1(用具まとめ系サイトで記載が割れる・国産速攻)
- 張本美和:フォア ディグニクス 09C / バック ディグニクス 05(旧来ディグニクス系)
- 長﨑美柚:フォア テナジー 05 ハード / バック ディグニクス 05(旧来テナジー系)